2023年度科目Ⅰエネルギー総合管理及び法規の問題の解答と解説です。
科目Ⅰ エネルギー総合管理及び法規
一般財団法人 省エネルギーセンター
令和5年度(2023年度)エネルギー管理士 科目Ⅰ エネルギー総合管理及び法規
問題1 エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律

(1) 「法」の目的に関する事項
第1条 「法」の目的について次のように規定している
この法律は、我が国で使用されるエネルギーの相当部分を化石燃料が占めている事、
非化石エネルギーの利用の必要性が増大していることその他の内外におけるエネルギーを
めぐる経済的社会的環境に応じたエネルギーの有効な利用の確保に資するため、工場等、輸送、
建築物及び機械器具等についてのエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換
に関する所要の措置、電気の(1)に関する所要の措置その他エネルギー使用の合理化及び
非化石エネルギーへの転換等を総合的に進めるために必要な措置を講ずることとし、
もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
ア 供給方法 イ 需要の最適化 ウ 貯蔵 エ 取引価格
(1)解説と解答
エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律
第一章 総則(目的)第1条の条文からそのまま出題された問題です。
イ 需要の最適化
第1条の条文からの出題は令和元年から振り返ると3回目の出題です。
ある程度、暗記してしまいましょう。
(2)エネルギーの定義に関する事項
「法」第2条では、第1項において「エネルギー」、第2項において「化石燃料」、
第3項において「非化石燃料」、そして第4項において「非化石エネルギー」について定義している。
次の①~③のうち、「法」に記述されている定義として正しいものを全て挙げると(2)である。
①「エネルギー」とは、化石燃料及び非化石燃料をいう。
②「非化石エネルギー」とは、非化石燃料並びに「非化石熱」及び「非化石電気」をいう。
③熱のうちで、化石燃料を熱源とする熱に代えて使用される熱のことを「非化石熱」という。
ア ① イ ② ウ ③ エ ①と② オ ①と③
カ ②と③ キ ①と②と③
(2)解説と解答
エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律
第一章 総則(定義)第2条の条文から出題された問題です。
①「エネルギー」とは、化石燃料及び非化石燃料並びに熱(政令で定めるものを除く。以下同じ。)及び電気をいう。
②「非化石エネルギー」とは、非化石燃料並びに化石燃料を熱源とする熱に代えて使用される熱(第五条第二項第二号ロ及びハにおいて「非化石熱」という。)及び化石燃料を熱源とする熱を変換して得られる動力を変換して得られる電気に代えて使用される電気(同号ニにおいて「非化石電気」という。)をいう。
③化石燃料を熱源とする熱に代えて使用される熱(第五条第二項第二号ロ及びハにおいて「非化石熱」という。
カ ②と③
第2条の条文からの出題は令和元年から振り返ると2回目の出題です。
こちらは言葉の定義ですので暗記推奨です。
(3)1)事業者の指定及び認定に関する事項
1)エネルギー使用者に対して法令で定める措置を講じるよう努めさせるため、「法」は、
エネルギーを使用する事業者のうち、一定のエネルギーの使用条件に達した者を、
エネルギーの使用の合理化又は非化石エネルギーへの転換を特に推進する必要がある者
として指定する、としている。
又、申請によって認定される場合もある。次の①~③は、工場等を設置している事業者が、
一定のエネルギーの使用条件に達している場合に、いずれかが適用される。
①特定事業者
②(3)
③認定管理統括事業者及び管理関係事業者(事業者の申請で認定された場合)
ア 特定エネルギー消費機器小売事業者 イ 特定エネルギー消費機器製造事業者
ウ 特定熱供給事業者あるいは特定発電事業者 エ 特定連鎖化事業者
(3)1)解説と解答
第三章 工場等に係る措置等 第一節 工場等に係る措置(エネルギー使用者の努力)
第二款 特定事業者に係る措置 第7条の条文から出題された問題です。
経済産業大臣は、工場等を設置している者連鎖化事業者、認定管理統括事業者及び
管理関係事業者のうち、その設置している全ての工場等におけるエネルギーの年度の
使用量の合計量が政令で定める数値以上であるものをエネルギーの使用の合理化
又は非化石エネルギーへの転換を特に推進する必要がある者として指定するものとする。
条文の()部分は省略
第7条の条文からの出題は令和元年から振り返ると初めての出題です。
第8条と第9条からの出題は1度づつありましたので合わせて覚えておきたい所です。
エ 特定連鎖化事業者
(3)2)事業者の指定及び認定に関する事項
2)「法」にはエネルギー使用者が定められた条件を満たす場合にエネルギー使用の合理化
又は非化石エネルギーへの転換を推進しやすいように認定を行う制度がある。
そのうちの1つとして「法」第50条では、工場等を設置している者が他の工場を
設置している者と共同で(4)計画を作成し、その計画が適当である旨の認定を受ける事ができる
という認定制度がある。
ア 設備投資 イ 中長期的な ウ 登録調査 エ 連携省エネルギー
(3)2)解説と解答
第三章 工場等に係る措置等 第一節 工場等に係る措置(エネルギー使用者の努力)
第六款 雑則(連携省エネルギー計画の認定)第五十条から条文からそのまま出題です。
エ 連携省エネルギー
令和が元年以降初めての出題箇所となります。この付近は1読する程度で良いでしょう。
(4)エネルギーを使用する工場等における「法」の適用に関する事項について
「法」第7条~第14条及び関連する「令」の規定
ある事業者が化学工場、原料工場、及び専ら事務所として使用されている本社を、それぞれ
別の工場等として有しており、これらがこの事業者の設置している施設の全てである。
ここで、各工場等における前年度の、法令で定める原油換算のエネルギー使用量は次のように
なっていた。
①科学工場 35000キロリットル
②原料工場 4500キロリットル
③本社 3500キロリットル
この事業者のエネルギー使用量は①~③のエネルギー使用量の合計であり、その使用量と
業態から判断して、この事業者は特定事業者に指定されることとなった。
それにより、事業者としてエネルギー管理総括者及びエネルギー管理企画推進者を選任
する法的義務が生じた。
一方、各工場等については、エネルギー管理指定工場等に指定されるか否か、及び指定される
場合の種別は、それぞれの工場等のエネルギー使用量によって判断され表(A)欄に示す通りになる。
さらに、エネルギー管理指定工場等に指定された場合、各工場等が選任すべきエネルギー管理者
又はエネルギー管理員は、表の(B)欄に示すとおりとなる。
表
工場等の名称 | エネルギー管理指定工場等 としての指定の種別 | 選任すべきエネルギー管理者 又はエネルギー管理員 |
化学工場 | 第一種エネルギー管理指定工場等 | (6) |
原料工場 | 第一種エネルギー管理指定工場等 | エネルギー管理者1名 |
本社 | (5) | (7) |
ア 第一種エネルギー管理指定工場等 イ 第二種エネルギー管理指定工場等
ウ 第一種と第二種エネルギー管理指定工場等のいずれにも該当しない
エ エネルギー管理者1名 オ エネルギー管理者2名 カ エネルギー管理者3名
キ エネルギー管理員 ク エネルギー管理者とエネルギー管理員のいずれも選任不要
(4)解説と解答
第8条、第17条 エネルギー管理指定工場等の区分
エネルギー管理指定工場等の区分 | 原油換算エネルギー使用量 |
第一種エネルギー管理指定工場等 | 3000キロリットル |
第二種エネルギー管理指定工場等 | 1500キロリットル |
第3条 法第11条第1項 政令でエネルギー管理者の選任基準
1コークス製造業、電気供給業、ガス供給業又は熱供給業に属する第一種エネルギー管理指定工場等
10万キロリットル未満 | 1人 |
10万キロリットル以上 | 2人 |
2それ以外の第一種エネルギー管理指定工場等
2万キロリットル未満 | 1人 |
2万キロリットル以上5万キロリットル未満 | 2人 |
5万キロリットル以上10万キロリットル未満 | 3人 |
10万キロリットル以上 | 4人 |
上記業種の事務所、上記以外の業種(ホテル、病院、学校等)の場合はエネルギー管理員となる。
(5)ア 第一種エネルギー管理指定工場等 (6)オ エネルギー管理者2名
(7)キ エネルギー管理員
エネルギー管理指定工場等やエネルギー管理者の選定については今回を含め過去5回連続で
出題されている問題です。過去の問題を含め必ず解けるようにしましょう。
(5)エネルギー管理者とエネルギー管理員に関する事項
1)次の①~③は、エネルギー管理者とエネルギー管理員のそれぞれあるいは両者共通の選任に
関連する記述である。これらのうち、「法」及び関連の「則」に基づいた適切な記述を
全て挙げると(8)である。
①エネルギー管理者として選任できるのは、エネルギー管理士の免状を受けている者のみである。
②エネルギー管理員として選任できるのは、必要な知識及び技能に関する講習の課程を修了した者のみである。
③エネルギー管理者とエネルギー管理員の選任は、いずれも選任すべき事由が生じた日以降遅滞なく行わなければならない。
2)次の①~③は、エネルギー管理者とエネルギー管理員の業務に関する記述である。
これらのうち、「法」及び関連の「則」に基づく業務として適切な記述を全て挙げると(9)である。
①エネルギー管理者とエネルギー管理員の業務には、いずれもエネルギーを消費する設備の維持が含まれる。
②エネルギーの使用の方法の改善は、エネルギー管理者の業務であるが、エネルギー管理員の業務ではない。
③エネルギー管理者とエネルギー管理員の業務には、いずれも定期の報告に係る書類を作成することが含まれる。
ア ① イ ② ウ ③ エ ①と② オ ①と③
カ ②と③ キ ①と②と③
(5)解説と解答
(5)1)解説
①エネルギー管理者として選任できるのは、エネルギー管理士の免状を受けている者のみである。
これは正しいです。
②エネルギー管理員として選任できるのは、必要な知識及び技能に関する講習の課程を修了した者のみである。
1必要な知識及び技能に関する講習の課程を修了した者
2エネルギー管理士免状の交付を受けた者
エネルギー管理員として選任されるパターンは2通りあるので注意です。
③エネルギー管理者とエネルギー管理員の選任は、いずれも選任すべき事由が生じた日以降遅滞なく行わなければならない。
「則」第17条第1項 経済産業省令で定めるエネルギー管理者の選任
1エネルギー管理者を選任すべき事由が生じた日から6月以内に選任。
「則」第23条第1項 経済産業省令で定めるエネルギー管理員の選任
1エネルギー管理員を選任すべき事由が生じた日から6月以内に選任。
(5)2)解説
エネルギー管理者は、エネルギーの使用の合理化に関して、エネルギーを消費する設備の維持、エネルギーの使用の方法の改善及び監視、その他経済産業省令で定める業務の管理を行います(省エネ法第11条)。
その他経済産業省令で定める業務
1エネルギーの使用の合理化に関する設備の維持
2定期報告書に係る書類の作成及び法第87条第3項の報告(求められたときの業務状況に関する報告)に係る書類の作成
①エネルギー管理者とエネルギー管理員の業務には、いずれもエネルギーを消費する設備の維持が含まれる。
正解となります。
②エネルギーの使用の方法の改善は、エネルギー管理者の業務であるが、エネルギー管理員の業務ではない。
エネルギー管理員も同様です。
③エネルギー管理者とエネルギー管理員の業務には、いずれも定期の報告に係る書類を作成することが含まれる。
正解となります。
(8)ア ① (9)オ ①と③
エネルギー管理者とエネルギー管理員に関する事項は今回を含め過去5回で1度目の出題です。
しかしエネルギー管理統括者、エネルギー管理企画推進者に関する事項は1度出題されている為、
合わせて覚えておくと良いでしょう。
(6)「機械器具に係る措置」及び「熱損失防止建築材料に係る措置」に関連する事項
1)「法」第148条によると、エネルギー消費性能とはエネルギー消費機器の一定の条件での
使用に際し、(10)を基礎として評価される性能を言う。
「法」第149条では経済産業大臣(自動車及びこれに係る特定関係機器にあっては、経済産業大臣
国土交通省)は特定エネルギー消費機器等ごとに、そのエネルギー消費性能
又はエネルギー消費関係性能の向上に関しエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準と
なるべき事項を定めてこれを公表するもの、としている。
また、「法」第154条では、特定熱損失防止建築材料について経済産業大臣は
特定熱損失防止建築材料ごとに、「法」に規定する性能の向上に関し特定熱損失防止建築材料
製造事業者等の判断の基準となるべき事項を定めてこれを公表するもの、としている。
ア 機器製造を含む全機能 イ 消費されるエネルギーの量
ウ 投入される電力の量 エ 発生する熱の量
2)これら特定エネルギー消費機器及び特定熱損失防止建築材料として、「令」が規定している
機器等(建築材料を含む)を、次の①~④のうち2つ挙げると(11)である。
①交流電動機 ②エスカレーター ③サッシ ④木製パネル
ア ①と② イ ①と③ ウ ①と④
エ ②と③ オ ②と④ カ ③と④
令和元年から今回で2度目の出題です。
ある程度、覚えていた方が良さそうです。
(6)解説と解答
1)第六章 機械器具等に係る措置 第一節 機械器具に係る措置
(エネルギー消費機器等製造事業者等の努力)の条文から抜粋された問題です。
2)機器・建材トップランナー品目より確認できます。
全32品目
経済産業省資源エネルギー庁 トップランナー制度品目一覧表ページ
(10)イ 消費されるエネルギーの量 (11)イ ①と②
問題2 エネルギー情勢・政策、エネルギー概論

(1)問題
国際単位系では長さ(m)、質量(kg)、時間(s)、電流(A)、熱力学温度(K)、
光度(cd)、及び物資料(mol)の7つを基本単位としている。
照明器具などの明るさを表すために用いられる光束(lm)は組み立て単位であり、
立体角(sr)を用いて、「すべての方向に対して1cdの光度を持つ点光源が立体角1sr
の中に放出する光束が1lmである」と定義されている。したがって1cdの点光源からすべての
方向(全球方向)に一様に放出された光速の総和は(1)(lm)である。
また、この光束に関る組立単位としては照度(lx)も用いられる。例えば。3000lmの
液晶プロジェクターの全光束が、高さ1.5mで幅2.0mのスクリーン全面に均等に照射された
ときの照度は、A(a.b×10^c)(lx)となる。
ア π(パイ) イ 2π ウ 4π
(1)解説と解答
点光源の全空間は4π(sr)です。
公式 光束F=立体角ω×高度I
光束F=4π×1=4π(lm)
公式 照度E=光束F/面積S
照度E=3000/1.5×2.0=1000(lx)
A(a.b×10^c)(lx)に当てはめると1.0×10^3となります。
(1)ウ 4π (a)1 (b)0 (c)3
国際単位系の問題は照明に限らず毎回出題されています。
範囲内については確実に勉強しましょう。
(2)問題
大気中の水蒸気や二酸化炭素による地球の温室効果ガスを抑える為には、黒体放射に関する
物理法則が重要である。その一つに、黒体からの単色放射のピーク波長はその熱力学温度に(2)、
という法則がある。これを(3)と呼んでいる。
太陽の表面や地球の表面を黒体とみなせると仮定してこの法則に基づくと、太陽の表面温度を
6000Kとする場合の単色放射のピーク波長は約0.5μm、地球の表面温度を300K
とする場合の単色放射のピーク波長は約(4)(μm)となる。
ア 0.025 イ 0.5 ウ 10 エ 30
オ ウィーンの変位則 カ ステファン・ボルツマンの法則 キ プランクの法則
ク 比例する ケ 反比例する コ よらず一定となる
(2)解説と解答
黒体からの単色放射のピーク波長はその熱力学温度に(2)、という法則がある。
これを(3)と呼んでいる。
文章から(2)には単色放射のピーク波長とその熱力学温度の関係が入りそうです。
ク 比例する ケ 反比例する コ よらず一定となる
文章から(3)には変位則、法則の名称が入りそうです。
ウィーンの変位則 黒体からの単色放射のピーク波長はその熱力学温度に反比例する
ステファン・ボルツマンの法則 完全黒体の単位面積当たりの全放射束は絶対温度の4乗に比例
プランクの法則 黒体の分光放射発散度と波長の関係をスペクトルエネルギー曲線で表した
太陽 表面温度を6000K 単色放射のピーク波長は約0.5μm
地球 表面温度を300K 単色放射のピーク波長は約(4)(μm)
ウィーン定数を求める 6000×0.5=3000(μm・K)
3000=300×λ λ=10(μm)
(2)ケ 反比例する (3)オ ウィーンの法則 (4)ウ 10
放射に関する出題は令和元年から振り返ると2回目の出題です。
(3)問題
資源エネルギー庁の電力調査統計による2021年度の発電実績によると、わが国における
水力を除く再生可能エネルギーによる発電量比率については、バイオマス、太陽光、地熱、
風力の中では、(5)と(6)が他と比べて多い。
ア バイオマス イ 太陽光 ウ 地熱 エ 風力
(3)解説と解答
2021年度 発電量比率
バイオマス 4.3%
太陽光 9.5%
地熱 0.3%
風力 0.9%
(5)ア バイオマス (6)イ 太陽光 (順不同)
エネルギーの発電量の比率や化石燃料や再生可能エネルギーについての問いは多く出題されています。
令和元年から今回で4回目の出題です。重点的に勉強した方が良さそうです。
(4)問題
エネルギー源としての水素の利用は脱炭素社会への有効手段として開発が進められている。
ここでは常温・常圧では気体状態である水素の輸送・貯蔵の手段について考える。
現在、水素の輸送手段としてよく用いられるのは、加圧して圧縮する方法である。
例えば、常温・常圧の水素を温度一定で体積を700分の1にするためには約(7)(Mpa)に
加圧する必要がある。
また、水素を大量に輸送・貯蔵する手段の1つとして、冷却による液化が用いられる。
気体の液化については、天然ガスの大気圧下での液化温度は約ー160℃であるが、
水素の場合は約(8)(℃)で液化し、体積は約800分の1となる。
その他に、水素を他の物質と化学反応させることにより、常温の液体状態にして輸送・貯蔵し
利用時に気体の水素に戻す方法も考えられている。水素と化学反応させる物質の候補の
1つとされているのがトルエンであり、これに気体の水素を反応させて液体の(9)に
変換して輸送・貯蔵するシステムの開発が進んでいる。
ア -250 イ -150 ウ -50
エ 0.7 オ 7 カ 70 キ 700
ク アンモニア ケ メチルアルコール コ メチルシクロヘキサン
(4)解説と解答
ボイルシャルルの法則を使用します。
公式 一定=圧力p×体積V/温度K
温度が一定で体積は700分の1になれば圧力は700倍になります。
大気圧は0.1Mpaであるので、0.1×700=70Mpa
70(Mpa)必要になります。
水素の場合は約(8)(℃)で液化し、体積は約800分の1となる。
水素 沸点 -252.6℃ 融点 -259.2℃ 解答群から-250℃となります。
水素と化学反応させる物質の候補の1つとされているのがトルエンであり、これに気体の水素を反応させて液体の(9)に変換して輸送・貯蔵するシステムの開発が進んでいる。
トルエンに水素を付加させて作る液体 メチルシクロヘキサン
(7)カ 70 (8)ア 250 (9)コ メチルシクロヘキサン
水素エネルギーに関する問題は最近では初めてとなりました。
難しい問題です。
問題3 エネルギー管理技術の基礎

工場等におけるエネルギーの使用の合理化の関する事業者の判断の基準である。
~略~
(1)問題
「目標及び措置部分」では、事業者はエネルギーの使用の合理化の目標及び計画的に取り組むべき
措置を最大限より効果的に講じていく事を目指して、中長期的視点に立った計画的な取組みに
努めなければならない、と定められている。
「目標及び措置部分(工場)」において、この措置を講ずべきエネルギー消費設備等の対象と
なるのは、燃焼設備、熱利用設備、廃熱回収設備、コージェネレーション設備、(1)設備、
空気調和設備・給湯設備・換気設備・昇降機等、照明設備及びFEMSである。
廃熱回収設備に対して講ずべき措置としては、排ガスの廃熱の回収利用について、別表(省略)
に掲げる(2)及び廃熱回収率の値を目標として(2)を低下させ廃熱回収率を高めるよう
努めることが、求められる。
ア 稼働率 イ 排ガス温度 ウ 排ガス量 エ 自家発電
オ 蓄電 カ 蓄熱 キ 電気使用
(1)解説と解答
工場等におけるエネルギーの使用の合理化の関する事業者の判断の基準より
「目標及び措置部分(工場)」において、この措置を講ずべきエネルギー消費設備等の対象となるのは電気使用設備となります。
排ガスの廃熱の回収利用については、別表第2(B)に掲げる廃ガス温度及び廃熱回収率の値を目
標として廃ガス温度を低下させ廃熱回収率を高めるよう努めること。
(1)キ 電気使用設備 (2)イ 排ガス温度
工場等におけるエネルギーの使用の合理化の関する事業者の判断の基準より出題されています。
範囲は広いですが毎年出題されているので要チェックです。
(2)問題
電熱の計算では、電気回路におけるオームの法則によう計算を応用できる場合がある。
この場合の計算諸量の例として、熱系の温度差は電気系の電位差に相当し、熱系の熱流束は
電気系の(3)に相当する。
ア 電荷 イ 電流 ウ 電流密度
(2)解説と解答
電気と熱の関係
熱 | 電気 |
温度差 | 電位差 |
熱量 | 電荷 |
電熱量、熱流 | 電流 |
熱流束 | 電流密度 |
(3)ウ 電流密度
熱に関する問題は毎年出題されています。
計算問題を中心に解答できるようにしましょう。
(3)問題
標準状態(温度;273K、圧力;1.013×10^5Pa)で、ある理想気体の体積が10㎥N
であるとき、この気体の温度が400K、圧力が5.1×10^5Paへ変化した時の体積は、A(a.b)
(㎥)である。
(3)解説と解答
ボイルシャルルの法則を使用します。
公式 一定=圧力p×体積V/温度K
1.013×10^5×10/273=5.1×10^5×V/400
V=2.9㎥
a)2 (b)9
過去5年の中では初めての出題となりましたがボイルシャルルの法則は覚えたい所です。
公式さえ出てしまえば簡単な計算になります。
(4)問題
通風型の燃焼炉や侵入空気のある燃焼炉では、燃焼時の空気比を管理するため、乾き燃焼排ガス
中の酸素濃度を測定して空気比を求める。いま、乾き燃焼排ガス中の酸素濃度が3.5%
(体積割合)であったとき、簡易式を用いて計算すると、空気比でB(a.b)である。
(4)解説と解答
簡易式 空気比m=21/(21-酸素濃度O2)
=21/(21ー3.5) =21/17.5 =1.2
a)1 (b)2
空気比を求める問題は過去5年の中では初めての出題となりました。
簡易式さえ出てしまえば簡単な計算になります。
(5)問題
流れの方向に対して管内径が徐々に拡大している円管内を、水が定常的に流れている。
水の密度が変化しないものとすると、拡大前の管内径に対して、2倍の管内径に拡大した領域における
管内平均流速は、拡大前の管内平均流速の(4)倍となる。
ア 1/4 イ 1/2 ウ 2
(5)解説と解答
流速と流量の問題です。
公式 流量Q=管路の断面積A×流速v
水の密度=体積と解釈します。体積が変化しなければ断面積によって流速が変化します。
管内径が2倍になれば断面積は4倍になります。(半径×半径=面積)
断面積が4倍になれば流速は1/4倍です。
(4)ア 1/4
流速と流量の問題は令和になり初めての問題です。
公式が頭に入っていれば難しくない問題ですが管路2倍に対して断面積が4倍になる事を
落ち着いて導かせられるかがカギです。
(6)問題
湿り蒸気では、飽和液と乾き飽和蒸気が共存している。この蒸気の乾き度とは(5)であり、
乾き度が高い蒸気ほど単位質量当たりの凝縮潜熱が大きい。
ア 湿り蒸気中の乾き水蒸気の質量分率
イ 湿り蒸気中の乾き水蒸気の体積分率
ウ 飽和液と乾き飽和蒸気の質量比
(6)解説と解答
蒸気の乾き度とは、湿り蒸気中の乾き水蒸気の質量分率です。
(4)ア 湿り蒸気中の乾き水蒸気の質量分率
蒸気の性質についての問題です。
令和元年からは2回目の出題となりました。
(7)問題
一次元定常熱伝導について考える。いま、厚さが20mm、熱伝導率が25W/(m・K)の
平板があり、高温側の表面温度が100℃となっている。この平板の厚さの方向に、単位時間、
単位面積当たり40kw/㎡の熱が高温側表面から低温側に伝わっているとすると、
低温側の表面温度はC(ab)(℃)である。
(7)解説と解答
熱交換器の計算問題です。
公式 熱通過量Q=比例定数K×電熱面積A×(高温側温度tf1−低温側温度tf2)
熱通過量Q=比例定数K×(高温側温度tf1−低温側温度tf2)/壁の厚さt
比例定数Kは熱通過率(W/(㎡・K))
40×10^3=25/20×10^−3×(100−tf2)
40×10^3×20×10^−3/25−100=−tf2
−68=−tf2 tf2=68℃
基となる公式を覚えて変形させ使用します。
単位であるmm、W/(m・K)、℃、(W/(㎡・K))に注目して式を変形させると
考えやすいです。
(a)6 (b)8
熱交換器の計算問題は毎回出題されています。今後も出題される可能性が高そうです。
(8)問題
外部から物体に放射エネルギーが与えられ熱的平衡状態にあるとき、その物体の反射率、吸収率
及び透過率の和は、エネルギーの保存則より1である。これらの中で、この熱的平衡状態にある
物体表面の放射率に等しいのは、(6)率である。
ア 吸収 イ 透過 ウ 反射
(8)解説と解答
キルヒホッフの法則が適用されます。
熱的平衡状態にある物質の放射率εはその温度の吸収率αに等しい。と定義されています。
このことから放射率=吸収率が成り立ちます。
(6)ア 吸収率
令和元年から2回目の類似問題の出題です。
(9)問題
廃熱回収計画を立案する上で、回収熱の熱利用を図る為には、回収媒体への熱交換における
(7)の損失を極力少なくすることを求められる。
ア エネルギー イ エクセルギー ウ エントロピー
(9)解説と解答
熱交換過程での温度降下を最小限に抑え、有効エネルギー(エクセルギー)の損失を極力少なくする
ここと定義されています。
(7)イ エクセルギー
熱、廃熱、熱交換器についての問題は令和に入り毎年出題されています。
確実に点数を取れるようにしたいです。
(10)問題
空気調和設備の省エネルギーでは、設備を構成する各機器エネルギー効率の向上だけでなく、
他の機器と組み合わせたときの総合的なエネルギー効率を向上させることも求められる。
これに関して「基準部分(工場)」は、「空気調和設備を構成する熱源設備、熱搬送設備、
空気調和機設備の管理は、外気条件の季節変動等に応じ、(8)、圧力等の設定により、
空気調和設備の総合的なエネルギー効率を向上させるように管理標準を設定して行うこと。」を
求めている。
ア 最適温度 イ 二酸化炭素濃度 ウ 冷却水温度や冷温水温度
(10)解説と解答
空調設備に関する問題です。
運転管理についての管理標準の設定について定めてられている文章の1つです。
(8)ウ 冷却水温度や冷温水温度
空調設備に関する問題は直近5回の試験で3度目の出題です。
定期的に出題されるので要チェックです。
(11)問題
ある火力発電設備が、高発熱量45MJ/㎥Nの天然ガスを燃料として200MWの一定出力で
発電している。この時の平均熱効率は高発熱量ベースで40%であった。この場合、この発電設備の
1時間当たりの天然ガスの平均使用量はD(a.b×10^c)(㎥N/h)である。
(11)解説と解答
出力P=天然ガスの高発熱量×平均熱効率(高発熱量ベース)η×1時間当たりの天然ガスの平均使用量×1/3600(時間から秒に変換)
平均使用量は単位時間あたりになっているので秒へ変換します。
200=45×0.4×D/3600
D=40000 解答に桁を直すと4.0×10^4です。
(a)4 (b)0 (c)4
火力発電設備の計算に関する問題は直近5回の試験で毎回出題されています。
火力発電についての出力や発熱量に関する公式を覚えましょう。
ただし、完璧に覚えていなくても単位に注目すれば解答できます。
(12)問題
並行3相負荷である電動機の使用電力が40kW、線間電圧が200V、力率が82%であった。
このとき、電動機に供給される1相当たりの電流はE(a.b)×10^2(A)である。
(12)解説と解答
3相負荷に関する問題です。
公式 使用電力P=√3×線間電圧V×電流I×力率cosθ
40×10^3=√3×200×I×0.82
I=141A 解答に小数を合わせると1.4×10^2(A)となります
(a)1 (b)4
3相負荷の計算に関する問題は直近5回の試験で毎回出題されています。
電気分野を選択した人にとっては簡単な問題です。
公式を覚え解けるようにしましょう。
(13)問題
工場配電設備の管理に際して、受変電設備又は電気設備における力率を進相コンデンサの
設置等により向上されることが求められる。力率は(9)で表され、力率が低くなると、
受電設備や配電線において、電力損失が増加したり電圧降下が大きくなったりする。
ア 有効電力/皮相電力 イ 無効電力/皮相電力 ウ 有効電力/無効電力
(13)解説と解答
力率についての問題です。
力率は有効電力/皮相電力 で表されます。
(9)ア 有効電力/皮相電力
電気分野に特化した出題です。
電気分野を選択している人は簡単ですが熱分野を選択している人は工場配電についての
勉強が必要です。
(14)問題
ある工場では、最大需要電力を6000kW以下に抑えることになっている。ある日の9時から
9時30分までの30分間について考える。9時から9時25分までの電力使用量が
2600kW・hであるとすると、9時25分から9時30分の残り5分間を平均電力を
F(a.b)×10^3(kw)以下とする必要がある。ここで、最大需要電力は使用電力の30分ごと
の平均値で管理するものとする。
(14)解説と解答
最大需要電力を30分毎管理するので30分当たりの最大需要電力量を求める。
30分当たりの最大需要電力量=6000×0.5 =3000KW・h
30分当たりの最大需要電力量=25分間の電力使用量+残り5分間を平均電力量
3000KW・h=2600kW・h+残り5分間を平均電力量
残り5分間を平均電力量=400kW・h
この平均電力量は1時間当たりの平均電力量ですので5分間当たりの平均電力に換算します。
400×60/5=4800
解答に小数点を合わせると4.8×10^3kW・hです
(a)4 (b)8
工場の最大需要電力の問題については毎回出題されている出題の多い問題です。
電力量は時間単位が紛らわしい問題だと思いますのでしっかり確認して解けるようにしたいです。
(15)問題
電動機駆動の送風機を、回転速度を変えて風量制御することを考える。一般に、電動機を含めた
慣性モーメントが大きい電動機は、小さい電動機と比較すると、風量変化の応答速度は(10)。
ただし、駆動トルクの値と負荷トルクの値の差は同じとして比較する。
ア 遅い イ 速い ウ 変わらない
(15)解説と解答
慣性モーメントとは、物体の回転のしにくさです。大きいほど回転させにくく止めにくい。
変化させにくくなります。
慣性モーメントが大きい電動機は、小さい電動機と比較すると、風量変化の応答速度は遅い。
(10)ア 遅い
電動機についての問題は毎回出題されている出題の多い問題です。
(16)問題
電動機は、一般に、低・中負荷域においては負荷が低くなるほど効率が低くなる特性がある。
「基礎部分(工場)」は、電動力応用設備において、「複数の電動機を使用する時は、それぞれの
電動機の部分負荷における効率を考慮して、電動機全体の効率が高くなるように管理標準を
設定し、(11)及び負荷の適正配分を行うこと。」を求めている。
ア 稼働台数の調整 イ 入力電圧の調整 ウ 力率の調整
(16)解説と解答
文章から解答できる問題です。
電動機は、一般に、低・中負荷域においては負荷が低くなるほど効率が低くなる特性がある。
電動機全体の効率が高くなるように管理標準を設定し、稼働台数の調整及び負荷の適正配分を行う。
台数を調整して負荷が高くなるよう運転すれば良いことがわかります。
(11)ア 稼働台数の調整
「基礎部分(工場)」についての問題は毎年出題されています。
範囲は広いですが1読した方が良いでしょう。
(17)問題
ポンプやファンなどの電動力応用設備の効率について、固定損は消費電力の数十%を占め、
部分負荷での運用時には負荷損を上回る事が多いので、固定損を極力低減することが
大きな省エネルギーにつながる。「基礎部分(工場)」は、これらの設備の新設・更新に当たって、
「電動機については、その特性、種類を勘案し、負荷機器の運転特性及び稼働状況に応じて
(12)容量のものを配置すること。」を求めている。
ア 運転頻度に見合った イ 所要出力に見合った ウ 余裕率の高い
(17)解説と解答
(16)と同じ電動機の省エネルギー対策「基礎部分(工場)」からの問題です。
電動機については、その特性、種類を勘案し、負荷機器の運転特性及び稼働状況に応じて
所要出力に見合った容量のものを配置すること
(12)イ 所要出力に見合った
参考書には大事な部分として掲載されている文章です。
(18)問題
電気化学の応用設備である電気分解設備では、原理的にファラデーの法則が適用できる。
この法則によると、電気分解システムで電極上に析出する物質の質力は、(13)に比例する。
ア 析出する物質の反応電子数 イ 通過する電気量 ウ 電解質濃度
(18)解説と解答
ファラデーの法則
電極で変化するイオンの物質量(mol)は流れた電気量(C)に比例する。
電気分解システムで電極上に析出する物質の質力は、通過する電気量に比例する。
(13)イ 通過する電気量
電気分解の問題です。
直近5回の試験では2回出題されています。
(19)問題
照明設備を設置するときに照明器具の必要台数などを決める重要な要素の中で、光源からの
光束がどのくらい被照面に到達するかを示す指標として(14)がある。
(14)は、使用する照明器具の配光特性や効率によって影響を受け、また、対象とする
部屋の室指数が大きいほど高く、内装材の反射率が高いほど高くなる。
ア ランプ効率 イ 照明率 ウ 調光効率
(19)解説と解答
それぞれの公式を紹介します。
ランプ効率=全光束F/単位電力P (lm/W)
照明率U=作業面に入射光束/照明器具のランプ光束
調光効率=ランプが出力する光束の比率
(14)イ 照明率
照明設備についての問題は毎年出題されています。
~以上~
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